防火設備定期検査

防火設備定期検査とは?

 平成25年10月に福岡市の診療所で火災があり、死者10名、負傷者5名の被害が出ました。被害が拡大した原因として、防火設備が正常に閉鎖しなかったこと等が指摘されています。また、近年、火災感知やシステム制御など機構が高度化・複雑化しているため、火災時に確実に作動するよう、専門性の高い検査が求められています。
 これらを受けて、平成28年6月に建築基準法の定期報告制度が強化され、これまで特定建築物の定期調査報告で行ってきた調査項目のうち対象防火設備の閉鎖又は作動については、特定建築物の調査項目から外し、新たに創設された「防火設備定期検査報告」で詳細に報告することになりました。

 国及び特定行政庁が指定する防火設備の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)は、建築基準法第12条第3項の規定により、定期的に検査資格者にその対象防火設備の閉鎖又は作動について毎年検査させ、その結果を特定行政庁に報告しなければならないことになっています。

※特定行政庁とは・・・建築確認等を行っている行政庁の長をいい、建物の所在地により以下のようになっています。対象建築物は国又は特定行政庁が指定しています。

区域 特定行政庁
23区内 敷地内に延べ面積が1万㎡を超える建築物がある場合 東京都知事
上記以外の場合 各区長
多摩区域 八王子市・町田市・日野市・立川市・府中市・調布市・三鷹市・
武蔵野市・国分寺市・西東京市 
各市長
上記10市以外の市
奥多摩町・日の出町・瑞穂町・檜原村
多摩建築指導事務所長
島しょ区域 上記以外の町村 東京都知事

防火設備とは

 

防火扉(随時閉鎖式)

普段は開放されているが、火災時に感知器連動でロックが解除され自動的に閉鎖するもので、熱感知器や煙感知器を実際に作動させ、連動を確認し、扉が閉まりきるかをチェックします。

防火シャッター

感知器連動もしくは非常ボタンで閉鎖するもので感知器を作動させ、連動を確認し、シャッターが閉まりきるか確認し、内部の劣化損傷や危害防止装置がきちんと働くかも確認します。

耐火クロススクリーン

防火シャッターと同じように天井からスクリーンが降下してきて防火区画を形成します。感知器と連動しきちんと閉鎖するか、また各部に損傷がないかなどを確認します。

ドレンチャー等

火災時に作動すると、水が噴射し「水幕」を形成することで火煙の広がりを遮断します。作動状態の確認、各部分の劣化・損傷の確認、加圧送水装置の状態確認します。

  用途 規模又は階 いずれかに該当するもの 用途
コード
報告時期




劇場、映画館、演芸場 ・地階 ・F≧3階 ・A>200㎡
・主階が1階にないものでA>100㎡(※)
[※A≦200㎡の場合、階数が3以上のものに限る]
11

4月から10月
(2019 年 6 月以降の
初回報告時期
「2019 年 6 月~10 月」
又は
「2020 年 4 月~5 月」)

観覧場(屋外観覧席のものを除く)、公会堂、集会場 ・地階 ・F≧3階・A>200㎡(※)
[※平屋建ての集会場で客席及び集会室の床面積の合計が400㎡未満の集会場を除く]
12
旅館、ホテル F≧3階かつA>2000㎡ 13
百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、場外車券売場、物品販売業を営む店舗 F≧3階かつA>3000㎡ 14
地下街 A>1500㎡ 15
児童福祉施設等(注意4に掲げるものを除く) ・F≧3階 ・A>200㎡[※平屋建てで床面積の合計が500㎡未満のものを除く] 21

4月から11月
(2019年6月以降の
初回報告時期
「2019年6月~11月」
または
「2019年4月~5月)

病院、診療所、(患者の収容施設があるものに限る)、
児童福祉施設等(注意4に掲げるものに限る)
・地階 ・F≧3階 ・A≧300㎡ (2階部分)
・A>300㎡(※)
[※平屋建てで床面積の合計が500㎡未満のものを除く]
旅館、ホテル(毎年報告のものを除く) 22
学校、学校に付属する体育館 ・F≧3階
・A>2000㎡
23
博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、
スポーツの練習場、体育館(いずれも学校に付属するものを除く)
・F≧3階
・A>2000㎡
24
下宿、共同住宅又は寄宿舎の用途とこの表(事務所等を除く)に掲げられている用途の複合建築物 F≧5階かつA>1000㎡ 28
百貨店、マーケット、勝馬投票券発売所、場外車券売場、物品販売業を営む店舗(毎年報告ものを除く) ・地階 ・F≧3階
・A≧300㎡ (2階部分)
・A>300㎡(※)
31 4月から12月
及び1月
(2019年6月以降の
初回報告時期
「2019年6月~2020年1月」
または
「2020年4月~5月)
展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、
遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店
32
複合用途建築物(共同住宅等の複合用途及び事務所等のものを除く) ・F≧3階
・A>2000㎡
33
事務所その他これに類するもの 5階建て以上で延べ面積が2000㎡を超える建築物のうちF≧3階かつA>1000㎡ 34
下宿、共同住宅、寄宿舎(注意4に掲げるものを除く) F≧5階かつA>1000㎡ 40 4月から9月
(2019年6月以降の
初回報告時期
「2019年6月~9月」
又は
「2020年4月~5月)

高齢者、障害者等の就寝のように ・地階 ・F≧3階
・A≧300㎡ (2階部分)
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注意
1 F≧3階、F≧5階、地階とは、それぞれ3階以上の階、5階以上の階、地階で、その用途に供する部分の床面積の合計が 100㎡を超えるものをいいます。ただし、A ≦ 200 ㎡の場合、階数が3以上のものに限ります。
2 Aは、その用途に供する部分の床面積の合計をいいます。
3 共同住宅(高齢者、障害者等の就寝の用に供するものを除く。)の住戸内は、定期調査・検査の報告対象から除かれます。
4  高齢者、障害者等の就寝の用に供する用途とは、共同住宅及び寄宿舎(サービス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホームに限る。) 並びに児童福祉施設等(助産施設、乳児院、障害児入所施設、助産所、盲導犬訓練施設、救護施設、更生施設、老人短期入所施設その他これに類するもの、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、母子保健施設、障害者支援施設、福祉ホーム及び障害福祉サービスを行う施設に限る。)をいいます。

報告書提出の流れ

報告者(対象防火設備の所有者又は管理者) 報告者(所有者又は管理者)が、検査資格者に検査を依頼します。
防火設備の検査依頼
検査資格者 検査資格者は対象防火設備を検査し、報告者に検査結果を報告します。また、報告書を作成の上、検査日から1か月以内にまちづくりセンターに提出します。
報告書を提出(郵送)
東京都防災・建築まちづくりセンター(受付) まちづくりセンターでは、予備審査のうえ報告書を受付し、特定行政v法に送付します。
報告書を送付
特定行政庁(審査) 特定行政庁は、報告書の内容を審査し、報告書(副)等をまちづくりセンターに返送します。
報告書を送付
東京都防災・建築まちづくりセンター まちづくりセンターから報告書(副)と報告済証等を添えて報告者に送付します。報告書(副)の送付は、通常で受付から3か月程度かかります。
報告書(副)、報告済証の送付
報告者(対象防火設備の所有者又は管理者) 報告者は、検査資格者と相談の上、報告書(副)を基に放火設備の適正な維持保全を行ってください
  防火設備の適正な維持保全

検査時の重要なメンテナンス

防火設備は普段は動作させないものですが、火災時には確実に作動しなければ命に係わる設備です。

点検時にしか作動させないためメンテナンスのチャンスとも言えます。

防火扉

防火シャッター

耐火クロススクリーン

防火扉の閉まる速度の調整をしたり、ラッチ部分が適正に作動するよう、メンテナンスしながら点検します。

駆動部やワイヤー・レール部など埃や癒着を取り除き、潤滑に動作するようメンテナンスしながら
点検します。

駆動部やワイヤー・レール部など埃や癒着を取り除き、潤滑に動作するようメンテナンスしながら
点検します。

  • アフターフォロー

点検時に「要是正」や不良時箇所が判明した場合の修理・部品交換・補修等もお気軽にご相談ください。

アフターフォロー例

感知器交換

動作不良の感知器   新品に交換

バッテリー交換

連動制御盤:交換前(2002年製)   交換後(2020年製)

整備・調整

1.動作が遅く、完全閉鎖しないスクリーン 2.スクリーンの摩擦潤滑処置実施
3.駆動部・ワイヤー・レール部の摩擦潤滑処置実施 4.整備後、正常時間内・完全閉鎖 確認

 

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